Open Studio Vol.15

  • 2014.09.28 (日)
  • 千葉県茂原市
  • TさんのSTUDIO

T邸プライベートDAWスタジオ

第15回オープンスタジオは、千葉県茂原市のT邸プライベートスタジオにて開催致します!

このスタジオは自宅敷地内に離れとして、建物ごと当社の設計・施工によって建築されたものです。

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16.3帖のレコーディングスタジオと7.5帖のコントロールルームが併設されています。

レコーディングスタジオではフルバンドでのリハーサルにも対応できるD’-70の遮音性能を有しているほか、オーナーこだわり楽器・アンプが並べられています。

また、コントロールルームにおいても、プロツールスHDXをはじめとしたプロ仕様のDAWシステムを構築、音にこだわるオーナーの希望を満足させる最高のスタジオです。

当日はこれらの機材を使って遮音性能や響きの体感ができます。

また、お手持ちの楽器を持ち込んでの音出しも可能ですので、お申しつけください。

T邸プライベートDAWスタジオ:
DATE:
木造2階建て在来工法
敷地内増築
建築面積:56.17㎡
延べ面積:69.80㎡
ControlRoom 7.5帖
Studio 16.3帖
———————————–
システム:
New Mac Pro|MAGMA Exp.Box 3T
Pro Tools HDX|HD I/O 16x16A
Artist Control|Artist Mix
Apple Thunderbolt Display 27’ x2
DangerousMusic MonitorST
Aurora Audio GTP8|ISA 828
AVALON AD2044|UREI 1176
ADAM A7X|CANOPUS R.F.M Drums
Nord Stage2 HA88|SC MFXi20/2
AMCRON XLS1500|Ampeg SVT-CL
SVT-810E|Marshall 1960B HW
& Many Guitars.. Amps.. Effectors..
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駐車スペースがございますので、お車でお越しいただいても大丈夫です。

最寄駅は外房線 新茂原駅より徒歩15分程度です。
住所等の詳しい情報は、電話・メール等でお問い合わせ下さい。

開催時間 10時~17時

楽器.me

参加連絡先

  • アコースティックデザインシステム

協賛

TさんのSTUDIO

REPORT Vol.15

  • 2014.09.28 (日)
  • 千葉県茂原市
  • TさんのSTUDIO

その1

第17回オープンスタジオ、無事終了致しました。
この日の9月最後の日曜日で全国的に快晴の秋晴れの日になりました。実は近くに小学校がありちょうど運動会のにぎやかな音が聞こえて来ていてさすがに、少し気温が上がっているとは言え秋を感じさせる一日でした。
今回は母屋とは別棟として建てたアマチュアギタリストのスタジオの紹介です。
16畳のスタジオブースと8畳弱のコントロールルームに玄関ロビーとニ階ロフトからなる、少し贅沢なスタジオです。
その日は音楽雑誌社の取材を兼ねて行われました。

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午前中は主に取材中心に行われました。
プロがうらやむようなスタジオですので取材所がたくさんあったのですが、取材の仕事に目途がつくとさっそく、音楽雑誌社のM氏はドラムを叩き始めました。汗びっしょりになったM氏は最後に満面の笑みで一言。。。。。。。「まだ帰りたくない!また来ていいですか。」

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プロツールス11のシステム、デュアルディスプレイ、ADAM A7X、New Mac Pro、
マイクプリアンプやコンプレッサーなどのアウトボードはアコースティックオリジナルの特注コンソールデスクの左右に操作性良く納まっているのが見えます。

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ライター西本氏によるスタジオレポート

「自分の音を作る楽しさを一生かけて追求できるスタジオ」

私はこれまで、アコースティックグループが設計したプライベートスタジオを数十件近く取材し、「サウンド&レコーディング・マガジン」「リズム&ドラム・ マガジン」「サックス&ブラス・マガジン(現サックス・マガジン)」「ギター・マガジン」といった雑誌で紹介してきました。今回は「取材を通してたくさん の物件を見てきた立場から、客観的な目線で当社のスタジオをレポートしてほしい」というご依頼をいただき、ここに書かせていただくことになりました。

Tさんのスタジオの概要は【その1】で 紹介されているとおり、スタジオブースとコントロールルームがセパレートされた本格的な造り。しかも、それが自宅敷地内の別棟にあるというところに、スタ ジオに対するTさんの強い思いが伺えます。 現在の家を建てる前はマンション住まいだったというTさんは、当時からギターやアンプ類をかなりの数お持ちで、一部屋を丸ごと機材専用にしていたとのこ と。しかし、もちろん部屋でアンプを鳴らすことなど不可能。「いつか自由に音を出せる部屋を持ちたいと思っていました」というTさんの願いが、このスタジ オで叶ったわけです。

スタジオのある建物は、木造在来工法の2階建て。取材前に写真でだいたいの様子は知っていましたが、やはり実物の存在感は違います。秋晴れの空をバックに 佇む姿はとてもスタイリッシュで、モノトーンの外観にオレンジのキーカラーが印象的。「近隣だけでなく家族に対しても気兼ねすることなく、思いきり使える スタジオにしたかった」というTさんにとって、スタジオ専用棟はまさに夢の城と言っていいでしょう。 建物全体の設計・施工もアコースティックエンジニアリングが行っており、コスト・性能の両面で合理的なスタジオ作りを実現しているところも大きな特徴で す。本格的なスタジオを作るなら建物は鉄筋にすべきでは?と思う方もいるかもしれませんが、ここは母屋から独立しているため、必要な遮音性能は木造でも十 分に確保できます。もちろん、木造物件のスタジオを数多く手がけているアコースティックグループの確かなノウハウありきであることは言うまでもありませ ん。また、在来工法であることにより、設計上の自由度も高くなります。

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外観上のアクセントにもなっている木製の玄関ドアを開けると、2階分の高さがある吹き抜けロビーが目の前に現れます。ここには小さなバーカウンターも備え られ、なかなか雰囲気のいい空間です。すぐ左の階段を上るとロフトがあり、楽器や音響機材のケース、外箱などの保管場所として活用されています。
Tさんいわく「物置きスペースを作るのは最初から希望していました。スタジオには無駄なものを置きたくなかったし、すっきりしたカッコいい部屋でカッコよ く演奏したい。ギターを弾いている以上、カッコつけなきゃいけませんからね(笑)」。スタジオが大きければ機材も多くなりますので、こうした空間はとても 重要だと思います。

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以下は、玄関からロビーにかけての様子を撮影した動画です。最初に入っていくのが私で、【その1】に登場されている設計担当の草階さんと、オーナーのTさんにもお話を聞いています。

続いて、スタジオブースを紹介しましょう。ロビーからは木製の防音ドアと、業務用スタジオ仕様の鉄製ドアで隔てられています。ちょうど階段下の空間にあた る2枚のドアの間には、ちょっとした収納スペースも設けられ、マイクスタンドやキューボックスなどが収められていました。前述のロフトと同じく、スタジオ を快適に使うための嬉しい工夫です。
ブースの広さは16.3畳。一般的なリハーサルスタジオでもかなり広めの部類で、数人編成のバンドが余裕で演奏できます。この日は見学のお客様をはじめ、 スタッフ、オーナーのTさん、そして我々取材班がスタジオ内に集まりましたが、狭苦しさはまったく感じませんでした。高めの天井と、2方向に設けられた採 光窓の効果もあって、開放的で明るい空間になっています。
Tさんは大学時代のバンド仲間と今も交流があり、年に数回集まって演奏しているそうで、ここをバンドで使えるスタジオにしたのは当然の成り行きです。ま た、もともとレコーディングにも興味があったというTさんの指向を踏まえ、バンドの演奏をしっかり録ることを前提とした数々の特徴を備えています。
主なポイントとしては、

・各パートの音をクリアに聴き取れる自然な響き
・最大3.3mの天井高が開放感をもたらし、音響面でも有利
・天井部分の梁が強度を確保しつつ、デザイン的な特徴にもなっている
・部屋の響きを簡単に調整できる残響可変パネルを設置
・壁一面を占める大きな鏡(カーテンで響き具合いを調整可能。部屋をより広く見せる効果も)
・マルチマイク録音用のコネクターパネルを設置(2ヶ所)
・ノイズカットトランスを通ったスタジオ専用電源
・コントロールルームとの間に大きなガラス窓を設け、直接アイコンタクトが可能

などが挙げられます。詳しくは下の動画で紹介していますので、ぜひご覧ください。 誇張抜きで、プロのスタジオと比べても遜色ない設備とクオリティ。ここでTさんの思い入れがたっぷり詰まった楽器やアンプを心ゆくまで鳴らすひとときは、 まさに至福の時間と言えるでしょう。

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一旦玄関ロビーに出て、コントロールルームに移動します。ロビーと木製防音ドア1枚で仕切られた7.5畳の横長の空間で、一人で作業をするには十分な広さ でありつつ、ソファも置かれているのでバンドメンバーも快適に過ごせそうです。 スタジオブースと同じく、このコントロールルームの充実ぶりにも目を見張るものがあります。
ポイントして挙げられるのは、

・Pro Tools HDXを核とした、プロ仕様のレコーディングシステムを完備
・真正面に窓があり、気分良く作業できる
・機材や部屋のサイズに合わせてデザインされたオリジナルデスク
・ニアフィールドモニターに合わせた響き
・定位の調整
・リスニングポジションを変えても音の印象が大きく変化しない
・スタジオブースとのコミュニケーションは大型窓とトークバックで
などです。詳しくは下の動画をご覧ください。撮影の前に、実際に音を聴かせていただいたのですが、部屋のどの位置からでも、解像感の高いしっかりとしたサウンドを実感できました。

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これだけのスタジオを個人で所有するというのは羨ましい限りですが、取材中に何度も感じたTさんの熱い音楽愛に、こちらも自然と納得させられるものがありました。
「良い音で演奏して、良い音で録りたい。そこでプロに近づきたいというか、プロを超える音を作りたいんです。そのための環境は揃ったので、あとは何年もかけていじっていくだけ。その楽しさは一生ものだと思います」。
笑顔でそう話すTさんの言葉からは、何ものにも代え難い大きな満足感が伝わってきました。

文:西本 勲(ライター/編集者)

インターシップ学生レポート

アコースティックに2週間ほどインターンシップに来ていた学生より、レポートを送って頂きました!
学生目線のフレッシュな感想をぜひご覧ください。

「オープンスタジオを経験して」

今回お伺いさせて頂いたスタジオは、スタイリッシュな黒に赤い軒が印象的な、2階建てのスタジオでした。母屋とは別に建てられており、スタジオと編 集室に分かれていました。事前情報として「リフォームじゃなく、別棟としてスタジオと編集ブースを建てた」と聞いており、実は前日からわくわくしていまし た。そして、見ての驚き。百聞は一見に如かずということわざ以上に、想像と違う・・・・もう驚きで何が何やら・・・・そんな感想談です。

1秋晴れとスタジオ。厳ついが、赤い軒と扉がアクセントになっている

中へ入ると吹き抜けの玄関ロビーにはバーカウンターがあり、2階ロフトへとつながっています。施主のT氏は緑が好きだそうで、白を基調とした室内のところ どころにワンポイントの緑が。アクセントとして室内を惹きたてつつ、木造ならではの暖かさもある。家具にも統一感があり、いるだけで楽しい。
この一体感はやはり別棟として一から建てたからこそ!・・・かと思いきや、カウンターチェアは雰囲気に合わせて購入したとのこと。
施主と設計者の意図が完全なマッチを起こしたからこそ、これほどセンス良くまとまった空間になったのだろうと思いました。

1ニューヨークの街並みの写真がこれまたオシャレでした

玄関を入っただけでこれほど高まってしまったわけですが、メインであるスタジオの感想をしなければなりませんね。
玄関ロビーから木造の防音扉と、鉄製の防音扉を2枚通った先のスタジオは広めで何人でも入れそうです。ちょうど9人入っていましたが、まだまだ余裕があり ました。正面は一面の鏡張り、右側には残響可変パネルが壁に設置してありました。残響可変パネルは、楽器にあわせて音の拡散が調節できる優れものです。そ の下にはエフェクターが所狭しと並んでいます。思わず、なんでこんなに必要なんですか?と聞いてしまうほどでした。それが雑多に転がっているならまだし も、綺麗にまとまりがありながら並んでいるものだから、素直に反応してしまいました。エフェクターがあれほど並んでいると、インテリアとしても美しく感じ てしまいます。

その下にはCANONのXLRタイプのソケットが16ch(ステレオだと32ch)が編集室へとつながっていて、ケーブルも設計段階から考慮されていたことにも驚きました。

2天井の梁はデザイン性を備えながら、堅牢さも持っていて、採光窓を通して明るさも保たれている

当日は取材も同時に行われており、取材がひと段落つくと、取材の方がドラムに飛びついていました。

3帰りたくない、週一で来たい!最高!と仰ってました

私が驚いたのは、残響に関してです。手を叩いてみると、ドラムを演奏するにはちょっとだけ長い気もする残響感。というのも、あまりスタジオらしい吸 音材ごてごてなデッドなスペースではないことです。見たところ、あまり吸音処理がされていません。部分的にはされていますが、人によっては不安に感じる少 なさだと思います。そして、それでも取材の方は最高と言っているところ。聴いていた側の私もすごいライブ感!レンタルスタジオの響きのない直接音と比べ て、聴いていても心地よかったです。
クラシックを目的とした練習室ならともかく、バンド用のスタジオになるとなるべく無響室に近づけているというイメージを持っていた手前、これにはびっくりしてしまいました。

そして編集室です。私は機械好きなのでもう、ここは天国でした。Mac Proとサンダーボルトのマルチディスプレイ、Pro Toolsと潤ったPCシステムに、さらにはオリジナルで作ったというコンソールデスク。コンソールデスクって大事ですよね。そこにはコンプレッサーが収 まっていました。編集などをしているといつのまにか機材がどんどん積み重なってごてごてと作業スペースは狭くなっていきますし、ファンの排熱と音で息苦し くなっていく。この部屋ではそんなこととは無縁に、いつでもハイスペック・ハイパフォーマンスな環境で作業ができそうです。窓は解放感のよい見晴らしなの ですが、外からの視線は入ってきません。音楽に埋もれながら作業ができます。

4編集室。オリジナルのコンソールデスクが機材を綺麗にまとめていて、美しい一体感

一番驚いたところといえば、これほど贅沢な設備を備えたスタジオなので、プロの方なのだろうと思っていました。それが、お話を聞いたところアマチュアなのだそうで、「アマチュアってなんだろう」と考えてしまいました。魂が口から出ていくような驚きでした。
ただ、最後にお話を聞いたところ
「バンドマンにとってここは夢の城、あとは自分の音を作るだけ」
と、とても良い笑顔で仰っていただき、満足感、充足感を感じました。

楽しく、そして驚きに満ちたオープンスタジオでした。
参加させていただき、ありがとうございました。

 

SD12

SOUND DESIGNER12月号掲載

 

レポート掲載!

レポート掲載!

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