Open Studio Vol.35

  • 2016.06.05 (日)
  • 埼玉県坂戸市
  • 離れで作ったスタジオ専用建物

毎回多くのお客様にお越しいただいているOpen Studio。
今回は埼玉県での開催!

 

自分専用のリハーサルスタジオが自宅の横にあったなら……。

 

今回は自宅敷地内に母屋とは別に、離れとしてスタジオ専用の建物を作りました。
そんな憧れのスタジオに実際に触れられる必見のイベントです!

 

「防音室ってどうやって造るの?」「ドラムを叩いても近所迷惑にならない?」「予算ってどれくらい?などのご質問もその場でお答えできます。

さらに、スタジオの回りをぐるっと一周し、遮音性能もチェックできます。
スタジオでバンド演奏しているときのご近所での聞こえ方がご自身の耳で確かめられます!

 

弊社の推奨しているドラム室の遮音性能はD’-60~D’-75以上。
そして今回のスタジオの外への遮音性能はD’-70~75。

 一般的なリハーサルスタジオレベルの性能となっており、外に出ればバスドラムのパターンが僅かにわかる程度です。

 

参加希望の方はお気軽にお申し込みください!

離れで作ったスタジオ専用建物

 

※混雑を避けるためにお時間など調整いたしますので、参加ご希望の方は事前にご連絡ください。
住所などの詳しい情報につきましては、お電話、メールにてお問い合わせください。

 

■開催日程
2016年6月5日(日)
11:00~17:00

 

参加連絡先

協賛

離れで作ったスタジオ専用建物

REPORT Vol.35

  • 2016.06.05 (日)
  • 埼玉県坂戸市
  • 離れで作ったスタジオ専用建物

REPORT Vol.35

今回で35回目を迎えたオープンスタジオ。

今まで様々なスタジオを訪問させていただきましたが、なかなかお目にかかれない離れのスタジオ専用建物での開催とあって、注目度は高かったのではないでしょうか。
ご見学にいらっしゃる方も、一軒まるまるをスタジオにしたいと考えていたりと、音楽に対する熱い思い感じられた1日でした。

第1回から数えて3年以上もこういったイベントが続けられたのは、お部屋を提供してくださるオーナー様はもちろん、興味をもって足を運んでくださる来場者様あってこそだなと再確認できました。

オーナーの鴨谷さんをはじめご家族のみなさん、来場くださった皆様ありがとうございました。

せっかくの機会ということで、スタジオの雑誌取材も入らせていただき、たくさんの写真やお話を伺わせていただきました。
スタジオ専用の建物というだけあって、見どころも多くどんな記事になるのか今から雑誌の発売が楽しみです。
(サウンドデザイナー7月号掲載予定)

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このスタジオの施主である鴨谷さんはThe Beatlesからはじまり、最近ではONE OK ROCKやBABY METALまで愛聴している生粋のロック好き。
最近のロックシーンまで網羅している音楽遍歴は、ドラムを演奏する高校生のお子さんの影響が多いんだとか。

そして、息子のためにスタジオを造りたい!という気持ちから、弊社に依頼が舞い込んできました。

高校生の息子さんは今まではエレキドラムのセットを2Fの自室に置き練習に励んでいましたが、やはり生ドラムとは一味も二味も違うフィーリングに歯がゆい思いをされたそうです。
一般家庭では本格的な練習環境が整えられない楽器なだけに、最低でも週に一度はリハスタに通いたいと思うドラマーは多いハズです。

しかし、行きたい時間にスタジオが空いていなかったり、自分の楽器の搬入に腰を痛めたり、使用料もそんなに安いわけでもなかったりと悩みは尽きません。
特に今回の鴨谷さんのように都心部以外では、近所にドラムを練習するスタジオであったり、音楽教室もなかったりと問題が山積みです。

だからこそ、ドラムを叩ける専用スタジオがあればいままで以上に音楽を楽しめるのではないでしょうか。

弊社の推奨しているドラムStudioの遮音等級はD’-65~D’-75以上。
そしてこのスタジオの外への遮音等級はD’-70~75。
一般的なリハーサルスタジオレベルの性能となっており、外に出ればバスドラムのパターンが僅かに感じられる程度です。

元々は緑生い茂る場所だったのを、伐採し更地にするところからはじまりました。
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落ち着いた雰囲気の内装とロックテイストな照明計画でシーンを問わず楽しめるデザインに
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休日には映画やゲームを楽しまれるそうで、ドラム室時々リビングにも。
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後日、第二弾のレポートも更新させていただきます。

 

REPORT Vol.35 第二弾

『ライター西本氏のレポート』

第35回OpenStudioが行われた鴨谷さん宅は、一戸建ての敷地内に別の建物を増築し、その中にプライベートスタジオを造った事例です。
既存の住宅にスタジオを造る場合はリフォームという形をとることが多いですが、もともと鴨谷さん宅は敷地が広く、メインの庭とは別に、もう1つ手頃なスペースがありました。そこを利用してスタジオ専用の建物を造ることにしたのです。

鴨谷さんは、ギターを何本も所有するほどの音楽好き。「自分の部屋で楽器に囲まれているのが好きでしたが(笑)、さすがに狭苦しかったし、下手くそなので家族に聴かれるのが恥ずかしくてほとんど弾けなかったんです」という鴨谷さんですが、このスタジオを造ったおかげで、気兼ねなくギターを楽しめるようになりました。

下の写真、ダークグレーの部分がスタジオ専用棟です。以前は木や草が茂っていたそうで、それを更地にするところから、すべてをアコースティックデザインシステムが手がけました。

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左側は2車線の車道に面しており、隣の家とは車庫や庭を隔てて十分な距離があります。とはいえ周りは静かな環境なので、やはり防音には気をつかわなくてはなりません。

反対側から見てみましょう。母屋と壁の面を揃え、違和感なく並び建っています。車道側には縦長の窓が2つ。

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再び入口側から見てみます。庇の下だけが赤くペイントされ、建物全体のダークグレーに対するアクセントカラーになっています。母屋との間隔は数十cm程度。

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入口のドアを開けると、壁に掛けられたギターが出迎えてくれます。その右にある細長い窓の向こうがスタジオです。入口の横にも窓があるため、外からスタジオの中の様子が見えるようになっています。

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スタジオの手前には約2帖のユーティリティスペースが設けられ、屋外への遮音性能を高める空気層の役目も果たしています。奥には造り付けの収納棚を設置。

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さらに、折りたたみ式のハシゴを使って上に登れるようになっています。

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屋根を斜めにしたことでスタジオの真上にロフト的なスペースが生まれ、そこに普段使わない機材や空き箱などが収納されていました。プライベートスタジオができると、どうしてもモノが増えがちですが、こういう場所があればスタジオをスッキリと使うことができます。

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では、いよいよスタジオの中に入ってみましょう。広さは約8帖。天井高が2m75cmと余裕があるため、実際よりも広く感じます。建物は木造ですが、生ドラムの演奏にも対応した高遮音仕様のスタジオです。取材時に、実際にドラムを叩いてもらって外から音漏れを確認してみましたが、壁に耳を近づけてようやくバスドラの音がわずかに聴こえるくらいでした。

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下の写真は、スタジオの完成に合わせて購入したDWのドラムセット。1500年以上前の樹から採れた希少なオーク材を用いたドラムなのだそうです。後ろには収納式のスクリーンが見えます。

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こちらは、スタジオができる前から鴨谷さんが所有していたギターの数々。どれも良いコンディションに見えましたが、ほとんど中古で手に入れたとのこと。「状態の良い中古を見つけるのが得意なんです(笑)」。壁のギターハンガーを活用してスペースを有効に使っています。

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ドラムセット側から見るとこんな感じ。全体的に吸音面は最小限にとどめられているという印象です。「アコギもすごくいい音で響く部屋です」とは鴨谷さんの弁。

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大きな鏡も部屋を広く感じさせる要因の1つ。左下に見えるのはプリソーナスのデジタルミキサー。同梱のDAWソフトを使って簡単なレコーディングも行っているそうです。

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ドラムセット背後の間接照明。換気口の目隠しも兼ねたスマートなデザインです。

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PAスピーカーは定番のエレクトロボイス製。エアコンの下にあるのはエプソンの3D対応フルHDプロジェクター。「音響・映像機材は、スタジオを造るときにいろいろ提案してもらったものを一緒に買ったので、代金は住宅ローンに全部組み込まれていて楽なんです。後から揃えたら大変だったと思います」

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外に面した2つの窓。取材当日は曇り空でしたが、それでも外光がたっぷり射し込み、スタジオの雰囲気を明るくしていました。

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出入り口のドアは木製防音ドア×2枚。

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室内の電源コンセントはすべてホスピタルグレード。

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壁のチェアレール部分には赤色のLEDライトが仕込まれ、点灯させると室内の雰囲気が一変します。プライベートスタジオならではの遊び心を感じる仕様です。


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「とにかく、いろんなことをお任せでやってもらえたので助かりました」と鴨谷さんは言います。もちろん、オーナーに細かいこだわりがある場合は、それに沿ったスタジオ造りを行うわけですが、「ホームページで見た他のスタジオを少し参考にさせてもらったくらいで、特にこれといったリクエストはしていません」という鴨谷さんのような場合も、過去の豊富な経験に基づいて的確な提案を行い、オーナーが満足するスタジオを完成させる。それがアコースティックデザインシステムの強みです。

また、今回は建物を新しく建てる大きな工事となりましたが、「建築確認申請なども全部やってもらえたので、本当に楽でした」と鴨谷さん。単なる防音工事業者と違い、建築設計施工のノウハウに秀でたアコースティックデザインシステムだからこそ実現できたプロジェクトと言えるでしょう。

そんなふうにして出来上がったこのスタジオでは、高校生の息子さんがドラムを叩くほか、大型スクリーンでDVDを観たりゲームに興じたりと、家族みんなでフル活用している様子。鴨谷さんも、ギターを弾くだけでなく「夜勤明けで帰ってきたときなんか、ここで音楽を聴きながら幸せな気分になって、そのまま寝ちゃうこともあります(笑)」

スタジオ専用の建物というと、とても手の届かない贅沢のようですが、こうして見ると意外に現実的だと思えます。敷地に余裕がある場合は、検討してみるのもいいのではないでしょうか。

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